翁先生の最初の挨拶

1951年(昭二六)和歌山市中之島道場で、植芝盛平翁先生の最初の挨拶は「世界は平等で世界は一つだ。人類は一家である。神(火、水)を愛し、自然に感謝して、世界平和の基礎を造る人になって頂く様に鍛練し稽古するのが合氣道であります」と講義を受けました。
当時私は合氣道の技と何の関係があるのかと疑問を抱きながら稽古を受ていました。

その後も度々翁先生から武産合氣の講義を受けながら技の稽古をしていました。
稽古を重ねていると、合氣道の技は相手を倒すのでなく己が倒れない自然体に成る事に気付きました。
此の時から植芝翁先生の講義が理解でき、合氣道は宇宙の源を教えているのだと思い、道文を研
究する端緒となりました。

植芝翁先生の講義の中に、科学と心が両輪でなければ平和に成らないと申された事を思い出します。最近盛んに自然や地球の環境を守れと世界中が取り組みだしています。
昭和二六年に植芝翁先生に世界は変わると教えられていましたが、其のときは終戦直後でしたので夢みたいなお話だと聞いていたことを思い出します。
       
植芝盛平翁先生が合氣道を基礎として、武道精神を鍛練し、世界に貢献する 日本人を造らんと目指した翁先生の哲学に襟を正しむるところであります。
日本の政治家の皆さんも植芝盛平翁先生の精神哲学を学んでほしいと思います。


流転剣法

植芝盛平翁先生の道文を解らないと言って尋ねもせず、研究もしないと末代まで解らないと思います。
以前「心霊の飛躍、偉人の出現」という書物の編集者が翁先生にインタービューした記事に、先生の武道に法則が有るのですかと尋ねると、先生は「有ります」と答えていました。
そして編集者は、合気道は、流転剣法だと書いて有りました。
この編集者は翁先生の合気道の技は、その理念を会得したら変幻自在であることを流転剣法であると表現したものと思います。

開祖は「合気道は古武道でない。古武道を土台にして、言霊の理念を取り入れたのが合気道で一番新しい武道である」と申されました。

年功で段を昇段していくが、私は五段以上の昇段は、開祖の道文の理念を理解して、道文を技で説明しながら指導できるような方が適当だと思っております。
その理由は、いみじくも開祖が言っている様に、「言霊の理念のない技は、抜け殻か物真似じゃ」と申されている事実に語り尽くされております。

開祖が昔の技を基礎として、言霊の理念を取り入れたのが合気道であると言って指導して下さいました。
開祖が昇天されてから、31年になりますが、言霊を解きながら指導する師範に出会いません、
このままでは、開祖の遺された、貴重な道文が幻になってしまうと残念でなりません。
高段者の方々は開祖の貴重な道文を未来まで残るよう指導して下さる事を願っております。

私は、開祖の道文の素晴らしさに感銘して日夜、研鑚致しております。

               

footer.html